金峰山(きんぷさん)や瑞牆山(みずがきやま)といった有名な山が並ぶ一角にある横尾山は、
それらの山に隠れるようにしてひっそりとあり、この山を訪れる人は少ないようです。
登山口のある信州峠も、私が以前ここを何度も通って増富から川上村へ向かっているのですが、まったくその存在に気づかずにいました。
それで今回も、はたして信州峠に登山口などあったろうかと、当時の記憶を探りつつ来てみたのですが、やはりぜんぜん気づかずに通り過ぎていました。
何年かぶりに須玉ICから「増富ラジウムライン」を走り、信州峠を目指します。塩川ダムができて景色は一変、ダム湖にはビジターセンターもできていて見違えるようです。
それでも瑞牆山へと向かって走る渓谷道は、だいぶ整備されたとはいえ、クネクネした細い道幅はどうすることもなく、昔の面影が残っていました。
渓谷の山肌に咲いていたアカショウマ
増富温泉のあたりは、渓谷をおおう緑の美しいところで、沢にいくつも架かる小さな橋は、いまもクルマ一台が通過できる幅しかありません。
いつか、ゆっくり温泉に浸かりに来がてら、このあたりをあちこち散歩できたらいいなと思うほど、雰囲気のいいところです。
瑞牆山の登山口を通過し、さらに15分ほど走ると信州峠です。
信州峠にある登山口駐車スペースは10台ほど駐車可能 横尾山へは道路を渡った向こう側から石段を上る
8時ちょうど登山口到着。登山口には一台のクルマもなく、今日は自分ひとりかと思いながら出発の準備を整えていたら、そのうちクルマが2台やってきて、
4名が加わりました。それでも登山者を大勢見かけた瑞牆山の登山口に比べると、日曜日にしては少ない方だと思います。
森の中を緩やかにのぼっていくと、登山道わきに小さな白い花が咲いているのを見つけました。
コバノイチヤクソウです。
コバノイチヤクソウは亜高山帯の針葉樹の森で見られる、高さ10〜15cmの花で、よく見ると花は真っ白ではなくて薄いクリーム色をしています。
丸っこくかわいらしい花には黄色い雄しべがたくさんついていて、1本下へ向いて長く伸びているのは雌しべです。
こうしてうつむいて咲く小さな花は、写真に撮るのが難しく、しかも薄暗い林床なので、うまく撮影できません。
鮮やかな緑におおわれた森、ところどころ葉の隙間から光が射し込む場所を探すようにして花が咲いています。
キバナノヤマオダマキ エゾタチツボスミレ サワギク
横尾山の山頂まで、タッタと登ればわずか1時間30分の行程なのですが、
コースのところどころ樹林が切れて草原が広がり、晴れて天気のよいときには眺望がひろがり、花もたくさん咲いてと、
小粒の山ながら見どころが多く、私の場合など、なんと山頂まで倍の3時間もかかりました
太陽の光がいっぱいの草原になると、
花は途端に数をふやし、
いまはアヤメが目立ちます。
アヤメを引き立たせるように咲いているのはニガナ。
後ろに控える山がもうすこしスッキリ見えたら、、ね〜
雲に囲まれた山は金峰山。特徴ある山頂の五畳岩が見えます。