丹沢山 新緑のブナとツツジ咲く綾線

山のなかで丹沢がいちばん近い山だけに、これまで何度となくのぼり、想い出も数多い。
けれど、丹沢の主だった山のなかで、丹沢山だけは行きそびれていました。

山歩きをはじめたころ、最初に登った山は大山三峰山で、
丹沢にしては鎖場やハシゴもあってスリリングな山で、ここから山歩きに目覚め
それから毎月のようにせっせと丹沢に通い、丹沢の主なコースはすべて歩き、
丹沢でもっとも好きな檜洞丸にはたびたび登りました。

檜洞丸には美しいブナ林があり、また春にはツツジがとても綺麗な山です。
同様に丹沢山もブナの森が広がっていると知って、行くならツツジ咲く5月にと思っていました。
日帰りだとけっこうロングコースになる丹沢山、
ルートもいろいろあるけれど、ブナの森に早く出られる堂平から上がり、
山頂からは主綾線をたどり、塔ノ岳を経て長尾尾根から塩水橋へ下るコースにしました。
ツツジの季節は登山者も多いのですが、このルートなら静かな山歩きができそうです。



  


塩水橋へ向かう林道でジャケツイバラ(蛇結茨)が咲いているのを見つけました。
鋭い棘のある丈夫なツルに華やかな黄色い花を咲かせ、遠くからでもよく目立つ綺麗な花です。
クルマをとめてさっそく花の写真を撮りました。

ところが〜、塩水橋に着いてクルマから降りて気がついたのですが、足の指先から血が出ています。
やばい、もしかしたら、、、
急いでソックスを脱いでみると、うわ〜んキモチワルイ〜〜〜
ヤマビルがぺったり足にくっついてる〜〜やられた〜
手でつまむのもいやだったけど、そんなこといってられません。
コイツは小さいながらも吸血鬼なのですから。。

東丹沢ではヒルが大発生して、寒くなる頃までヒトの血をやたら吸いまくろうと構えてます。
春から冬までの間、東丹沢に行かれるかたはヒル対策をしていってくださいね。
ちなみに塩のひとつまみが有効です。ヤツはナメクジの仲間か?塩に弱い。
ヒルに咬まれても、痛みなどないのですが、出血がしばらく止まらないです。

以前、東丹沢の沢登りをしたときは、何匹ものヒルに足を咬まれて血だらけになりました。
今回はさっきジャケツイバラの写真を撮っているときにやられたようです。

出鼻をくじかれるとはこのこと、傷口をバンドエイドで処置して出発です。
血がソックスに滲んできますが、ちょうど赤いソックスを履いてきたので目立たなくてよかった。



   

車止めのゲートをくぐって、しばらくは林道歩きです。
林道から見える山々が若葉に萌え、とても綺麗!  あ、ヒコーキ雲!

      


林道をショートカットする山道に入ると、ヤマツツジの鮮やかなオレンジが目に飛び込んできます。
ガクウツギの白い花、ハンショウズルの赤い蕾もかわいい。



さあ、もうすぐブナの森です。


   

朝の光がシャワーのように射しこむ森、ブナの若葉を透かしてこぼれる光はやわらかで
森の精に包まれているような安らぎさえ感じます。




     


なだらかな尾根に広がるブナの森はメルヘンチックな雰囲気がただよい、
草の小道の先には七人の小人がいたりして、、、なんて思えてしまうくらい。。


              

スタスタ歩いてしまうのがもったいないくらい素敵な森、ゆっくりゆっくり歩くことにします。


       

ゆるやかに森の小道を下っていくと、山の両側がスッパリ切れ落ちたコルに出ました。
登山道が一部崩壊しているザレ場です。
うひゃ〜こわい〜 風よ吹かないで〜
よろよろと鎖場を通過し、無事むこう側について、ふぅ〜 やれやれ




    林床にはツルシロカネソウ

                               

ここからはまたブナの森となって、木道を行きます。
霧が流れては消え、森特有の静寂さに満たされつつ歩きます。



  木道をのぼりつめたところで主綾線に飛び出しました。
右は蛭ヶ岳方面、左へ進むと丹沢山です。

シロヤシオやトウゴクミツバツツジの木が多くなってきました。
シロヤシオはまだ蕾のものがほとんどです。

    

行く手に山小屋が見えています。みやま山荘です。

着きました、丹沢山々頂(1,567m)です。 ここに富士の姿が見えるのですが、
あいにく雲におおわれてしまい、山頂から見える富士の姿は今回はオアズケ。。

ひと休みしてさあ出発、まだまだこれから先が長いのです。




    
丹沢山頂からはなだらかなブナの尾根がつづく             谷間を埋めて咲くツツジをのぞきこむ登山者

丹沢山から塔ノ岳まで、気持のいいブナとトウゴクミツバツツジシロヤシオ咲く綾線歩きです。
進むにつれて雲もとれ、紅白のツツジが新緑に鮮やかに映えて、それは綺麗です。
春の丹沢山ハイライトコース

     



塔ノ岳(1,491m)到着、13:20です。木陰でひと休みして出発。

      
塔ノ岳山頂                     塔から新大日へ向かう綾線           秦野の町が眼下に


塔ノ岳から新大日まではたくさんの人がいたのに、長尾尾根に入ると人影はまったくなく、
寂しいくらいにひっそりと静まりかえっています。
長尾尾根はブナやミズナラにおおわれたなだらかな道がつづき、
木々のあいだからは紅白のツツジが散りばめられたように見えて、なかなか雰囲気がいいです。

     


けれど誰も歩いていないのに加え、単調で長い尾根歩きで、ちょっと不安な思いも、、、
そんななか話し声が聞こえてきました。森林管理の作業をする人たちが休憩しているところでした。
おじさんたちに道を聞いて確認、なにしろ初めて歩くルートですから。
「これから一人で塩水橋まで行くのかい、まだだいぶあるから気をつけて行きなよ」と、おじさん。

地図では、上の丸というピークを通過していくようになっているのですが、道はピークを巻いていて
ほんとにここでいいのかなと行ったり来たりしながらも、札掛への分岐に出ました。

塩水橋へは左へ行くのですが、このへん薄暗い山奥といったかんじで、進んでいった先はさらに暗く、
なんだか先へ進む気がしなくなり、分岐まで戻って札掛へ下りることにしました。
その方が早く下山できるのですが、塩水橋までは長い林道歩きがあります。
まあだけど不安な気持ちで歩くよりは、時間がかかっても林道に出た方が安全と考えたのです。

しかし札掛への道も、途中桟道が崩壊していたり、薄暗さといい、歩きやすいとはいえなかったです。
でもともかく札掛に無事着いて一安心。クルマをとめた場所へとテクテク歩きだしました。
疲れた足に応える舗装路です。

何台か通り過ぎるクルマを見送りながらテクテク、テクテク、、、
と、そこへ一台のクルマが通り過ぎて止まりました。中から年配の女性のかたがどこまで行くの?と。
助かった〜〜 あと半分ほどでしたが、乗せていただいてもうもう感謝!
あっという間に塩水橋に着きました。

親切な女性のかたは、東村山から来られて蛭ヶ岳にのぼってきたということでした。
しかも、単独二週連続で蛭へ! スゴイ!
山で出会う女性のみなさん、快足でスタミナ旺盛のかたがたくさんいらっしゃます。
私もがんばらねば、、、

山の中とくらべ林道はまだ明るく、陽が落ちる前に塩水橋に着いてほっとしました。
春は日が長いので助かります。
きょうは11時間も山のなかで過ごしました。充実した山行でした。


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