シロヤシオ咲く 檜洞丸 (ひのきぼらまる) 1,600m


丹沢で私のいちばん好きな山、檜洞丸にはこれまで何度となく登りました。
石棚山から山頂にかけての美しいブナ林、山頂直下のツツジとバイケイソウが織りなす森の景観美は独特で、
標高差1000mと大変なアルバイトを強いられる山なのですが、それに値する魅力がある山です。

檜洞丸が登山者で賑わうのは、なんといってもシロヤシオやトウゴクミツバツツジ咲く時期で、
この頃はまた、ブナの美しい新緑が見られることでも、檜洞丸が輝く季節なのです。

今年はどこも全体的に花の時期が早い。
檜洞丸では例年5月下旬頃に見頃を迎えるシロヤシオだが、今年はすでに咲き始めたと聞き、
天気も五月晴れが期待できそうなので、急きょ行くことにしました。

登山口の西丹沢自然教室に8時到着。
平日というのに、駐車場はほぼ満車状態だったのには驚いた。
観光バス?で来ている団体登山もあり、30人くらいの人たちは体操を終え、ちょうど出発するところでした。

いつもは箒沢キャンプ場から石棚山を経て檜洞丸に登るコースを行くのですが、
今回はいつも下山路に使っているツツジ新道から登り、犬越路から用木沢へ下山するルートをとる予定です。

     開放的なゴーラ沢出合い
ゴーラ沢までの桟道には以前にはなかった手すりが設置されていた

登山口から樹林帯のほぼ水平になった道を、緩やかに高度を上げていくと1時間でゴーラ沢出合い。
ここの河原でひと休みしたら、飛び石で川を渡って急登の道に入り、
だらだらと樹林の中を1時間も登ると、ベンチのある展望園地で、ここからは富士山が見えます。



とはいっても富士が綺麗に見えることはそうなくて、きょうはすこぶるラッキー♪

展望園地から綾線に出るまでは登り一辺倒で、なかなかキツク感じるところ。
けど、途中からシロヤシオが登山道脇をうめるようにして咲きだすので、これでずいぶん疲れがほぐれます。

 

木の根が飛び出した尾根道の斜面にはシロヤシオがいっぱい




瑞々しい新緑に映える清楚な花シロヤシオ、山を彩るにふさわしい花です。




  

愛子様の御印として知られるシロヤシオは別名五葉躑躅とも呼ばれます。 見事に花をつけたシロヤシオの株、きゃあ うれしい〜

今年のシロヤシオ、花は例年に比べ全体的に少ないです。
ただ、木によってはびっしりと花をつけている木もあるのですが、当たり年といわれるのに比べるとかなり少ない。
シロヤシオは年によって花つきに違いがあり、今年は休養の年なのかもしれませんね。
それでも、十分満足できるシロヤシオの花を見ることができました。

シロヤシオにトウゴクミツバツツジのピンクが混ざって咲くと、さらに眺めは素晴らしいものになるのですが、トウゴクミツバツツジはまだまだ蕾で、花はこれからといったところです。
シロヤシオの開花が遅れ、トウゴクミツバツツジの咲く時期にずれこんだときは、それは見事な花景色でした。このように自然なるもの、その年によってまた日によって違いがあるからいいのかもしれません。

  


  石棚山分岐から山頂へ、木道の敷かれた雰囲気のいい森がつづきます。
  分岐からは、美しい富士の姿も眺められました。
  富士山がきれいに見えるととてもうれしい、これは山に登る皆さん誰しもそうでしょね。





  


     
     林床を埋めるバイケイソウ、ブナやヒメシャラに混じってシロヤシオの白い花が印象的な山頂付近












そして最後の一登り、私はここがいつもとても辛く感じるところで、
やはり1000mの標高差はキビシイです。
  

大気汚染濃度を調べる機械が設置されている山頂直下




  

檜洞丸山頂は、展望こそありませんが、広々として落ちつける場所です。
きょうはたくさんのハイカーで賑わう山頂、数あるベンチもすべてふさがっています。
そうそう丹沢のベンチって、テーブルの部分とイスの部分をひとつにまとめたようなツクリで、
ベンチテーブルといったらいいか、これは昔の茶店の縁台からの発想でしょうか?
こんなところに昔ながらの知恵?がうまく利用されているなぁと感心したりして、、


山頂でたっぷり休み、初めて歩くルート犬越路に向かって下山です。
展望のなかった山頂から一下りすると、パァ〜っと視界が開け、これから行く山が見渡せるところに出ました。

            

風が強い日などは吹き飛ばされてしまうくらい、山肌がむき出しになったところを急下降していきます。
眺めはよいけど、つまづいて転んだりしようものなら、どこへ落ちていくかわからないといった急坂です。
慎重に一歩一歩足元を確認しながら進みます。コワイよ〜




   

展望のよい尾根歩きができる犬越路ルート、アップダウンをくり返しながら進んでいきます。
陽あたりがよいせいか、花をつけた綺麗なシロヤシオがたくさん見られました。

    くねっとした幹のカーブがセクシーなブナ

右手にはブナの森が広がり、幹の太い立派なブナが鮮やかな黄緑色の若葉を繁らせ、とても綺麗!
時間に余裕があればゆっくり歩いていきたい道です。
熊笹の峰に着きました。

     

ヒガラが飛んできて枝にとまってくれた!


熊笹の峰から登山道の勾配はさらに激しくなり、連続して4ヶ所の鎖場が出てきます。
距離は短いものの、ほぼ垂直に岩場を下降するので下りは足元が見えずらい。
鎖のないところも道の傾斜はキツイので緊張はつづく。

やっと危険個所を通過して樹林の中にはいると、こんどは笹に覆われた細い道となって、
笹ではあれど両側に迫っているので閉塞感があり、視界がないことからここでいいのかと心細くなってくる道です。
閉所恐怖症気味の私にとってはやけに圧迫感があり、カマではじから刈りとってしまいたいと思えるササです。

長く感じた笹藪をぬけてしばらくすると避難小屋の建っている犬越路に着きました。
小屋は新しくて立派で、平になったスペースもありテーブルベンチが置かれています。

ひと休みした後、用木沢出合いへと、ひたすら下ります。

    
こんな橋をいくつも渡り、ときには沢を渡渉して、、

沢音が聞こえてきて渓の淵を歩き、沢を飛び石伝いに横切ってなおも進むと立派な橋が見えてきて、これを渡り終えると林道に出ました。
8時から歩きだして、戻った時刻は17時20分、いやぁ〜長い道のりでした〜

檜洞丸へのルートは何本かあって、蛭ヶ岳と神ノ川からのコースは歩いたことがないけど、大棚山稜、ツツジ新道、犬越路と、どれもそれぞれに魅力があります。 
今回の犬越路は、これらのコースのなかでもいちばん勾配がきつくて体力消耗するけど、展望もよく変化に富んだコースで、避難小屋にでも一泊してゆっくり歩いたら
とても楽しめると思いました。 蛭ヶ岳と神ノ川のコースもいつか歩いてみたい。
檜洞丸はどこから登ってもそれなりに体力も要り時間もかかるけど、雰囲気のよいブナ林にツツジが咲くいまの季節はたいへん美しく、
額に汗して登っても十分に報われる要素がいっぱいで、登りがいのある山です。

                                        

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