箱根・駒ヶ岳 (1,356m)

芦ノ湖の箱根園から駒ヶ岳ロープウェィを利用すれば、わずか7分で山頂に立てる駒ヶ岳。
また、桃源台からは箱根ロープウェイで大涌谷へ、強羅からはケーブルで早雲山まで上がれるので、
駒ヶ岳へはこれらを使って登る人がほとんどで、動力に頼らず人力だけで駒ヶ岳に行く人はいないように思えるが、
4月から5月にかけては花が多いと聞いて、姥子から歩いて登ることにした。

さて、箱根ロープウェイの中間駅がある姥子だが、ここへの道が入り組んでいて早くも迷う。
箱根は大昔から温泉場や避暑地として開発されてきたせいか、国道を離れて一歩入るとやたら道が狭くごちゃごちゃしている。
でなくても方向オンチの私にとっては、いつもグルグルしてしまう箱根なのである。
今回も目的地のすぐそばまで行きつつも、だいぶ遠回りしてやっと着いた。やれやれ(;´д`)

 姥子駅近くの草地に咲いていたスミレ スミレの前に何もつかない

姥子駅近くのホテル?の駐車場にクルマを停めて出発。
姥子から大涌谷への車道を横切ったところに登山道があるのだが、これは大涌谷へ通じていて、今回歩く予定の道じゃない。
地図に破線で記されている道を行きたいのだが、探しても登山口が見つからない。
しかたないので、大涌谷へ上がり、お中道から駒ヶ岳を目指すことにした。

階段状になった遊歩道をのぼっていく。
歩いているどの人たちも軽装のお散歩スタイルといったふうで、ザックを背負いダブルストックで歩く私の姿が
いささかオーバーに見えてしまうというのだからいやになってしまう。
みなさん観光でいらしていて、大涌谷まで歩いて、帰りはロープウェイでスイッと降りてくるのでしょう。

    ブナは芽吹きがはじまったばかり

道の途中に「ブナの森・散策路」というのがあったので行ってみた。
ブナの「森」というにはお粗末な、何本かのブナがあったくらいでちょっとガッカリ。

大涌谷への樹林に囲まれた道は、花のひとつも咲いていない退屈な道だた。
岩場のところへくると、イワカガミの葉がびっしりと斜面に広がっているところがあった。
ベニバナヒメイワカガミだろうか? 開花は2週間くらい先だろう。

硫黄の匂いが漂ってくる。大涌谷が近い。
樹林の途切れたところから見える大涌谷、その上には尖がった冠ヶ岳が見える。
谷からはもくもくと煙が上がり、硫黄のにおいはいっそう強く、この臭いで気分が悪くなりそうだった。

大涌谷駅の駐車場は満車に近く、大勢の観光客で賑わっていた。
動力の効果はあらためてスゴイなどと思ってしまう。
けど、「ここからは登山道」
と書かれた鉄の門扉から先は人がいない。
ロープウェイでぴゅーっと上がってきて、大涌谷から立ちあがる煙を見るだけで、何がおもしろいのかわからない。
荒涼とした景色と硫黄臭だけ、、、私にはそう思えるのだが、まぁ部族の違いということでしょう。



   

賑わう大涌谷観光地をあとに、ごろごろした石と赤土にまみれた急坂を登って行くと、
箱根の最高峰・神山と、駒ヶ岳への巻き道・お中道、そして早雲山への分岐点に来た。
駒ヶ岳へは、神山のピークを経ていくか、樹林のお中道を行くかの二通りがあって、私は花がありそうだとお中道を選んだ。
樹林帯をトラバースしていくので、ラクというのもありますが、、

 静かな山道がつづくお中道コース

道の途中が崩壊しているところもあったが、危険ではなく、なにより人が少なく静かに歩けるコースです。
薄暗いヒノキの樹林帯を足早に通過し終えたところで、やっとお花の登場
キクザキイチゲ・コミヤマカタバミ・エイザンスミレなどなど、これまではアセビくらいしかなかった花が
ここで一挙に咲きだして、そうなるとパタッと足が進まなくなった。

       

いまを盛りと咲いているのはコキクザキイチゲ(小菊咲一華)で、
「花追っかけ記」に記したキクザキイチゲよりも花が小柄で、箱根が基準産地となっている小型のキクザキイチゲ。
花の色は白が多く、他に紫や薄紫のものもちらほら。
花の数はたいへん多く、ヒノキの樹林帯を過ぎて、山頂にいたるまでびっしりとかわいい花を咲かせていた。

          

コキクザキイチゲと並んで清純な白い花を咲かせているのは、コミヤマカタバミ(小深山傍食)




        
ギザギザの縁取りにくっきりしたスジの     タチツボスミレの仲間オトメスミレ        赤味の強いエイザンスミレ
入った葉が特徴のシコクスミレ

                   
                             花色も多彩なエイザンスミレ

スミレでは、ポピュラーなタチツボスミレの他にシコクスミレオトメスミレエイザンスミレが見られた。
とくにエイザンスミレは華やかに群生している箇所があり、見事な咲きっぷり。




    

山頂に近いところにはバイケイソウの群落があり、バイケイソウに混じってコキクザキイチゲが顔をのぞかせている。
このあたりにくると山頂は間じかだが、登山道は深くえぐれて歩きずらい。

バイケイソウの群落地を過ぎると小さな広場にでて、ここではマメザクラが満開だった。




防ヶ沢分岐を直進すると樹林帯が切れて広い笹原となり、笹原をのぼっていくと箱根神社が祀られた山頂に到着。
写真はロープウェイ乗り場から眺めた山頂で、ロープウェイ出発の時刻を知らせるマイクの声に乗り場へ向かう乗客たち。




ロープウェイ乗り場からは眼下に芦ノ湖が見渡せる。
しかし、吹きつける風は冷たく、寒くてゆっくり休んでもいられず下山にかかる。
先ほどの防ヶ沢分岐まで戻り、ここを下ることにした。

ガイドブックには出てないコースだが、よく踏まれた歩きやすい樹林の中の道だった。
途中の分岐に右へ行く道があって、ここが姥子へと通じているルートじゃないかと考えられた。
ここを行ってみようかと思ったが、案内表示は何もなく、すでに時刻は16時をまわっていたので、
予定通り車道へ出るのが安全だと思った。このルートは次回歩いてみることにしよう。

何度か足がつって痛くて困ったが、17時07分、芦ノ湖に面した登山口の車道に着いた。
ここから桃源台のバス停まで30分ほど車道を歩き、バスで姥子駅へ戻った。
17時50分 駐車場到着。意外にも歩きでのあった箱根・駒ヶ岳だった。

                         

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